大東亜戦争18:ガ島5(運賀無蔵君の一生)
ガ島の日本軍はもうダメダメになっていた。
昭和17年、12月ごろ、空から、ビラが巻かれてきた。降伏しなさい。捕虜の待遇はちゃんとします。食糧たくさんあります。戦争が終わったら日本に返してあげます。という甘いささやきが書かれてある。
それは、嘘ではないのだが、日本人は信じてない。捕虜になるぐらいなら腹を切ると教えられている。
ある日、マンガが落ちてきた。「運賀無蔵君の一生」というタイトルだ。マンガというか、絵本?
運賀無蔵君は、赤紙が来て、召集を受け、入隊する。勅論奉読の軍人教育を受ける。
一、軍人は忠節をつくすを本分とすべし
一、軍人は礼儀を正しくすべし
一、軍人は武勇を尚ぶべし
一、軍人は信義を重んずべし
一、軍人は質素を旨とすべし
ビンタの特訓がある。そして無蔵君は、国防婦人会の日の丸の小旗と歓呼の声に送られ、外地出征する。
無蔵君は、将校当番兵となる。給仕係で、将校の部屋に酒を運ぶ。将校は、女といちゃいちゃしている。
無蔵君は、戦争に行き、戦死する。最後のページには、実家の仏壇に白木の遺骨が。
「運賀無蔵君之英霊」と書かれてある。
そして、「諸君はこんなバカらしいテツをふんではならない」と書いて終わる。
つまり、兵隊さんたちに、お国のためにがんばっても、上のものはすでに腐敗しているので、無駄なことしないで降伏しろよという、アメリカの優しい心遣いである。
こういうチラシを拾ったら、懲罰モノだったから、これはこっそり見た人の記憶だ。前回書いた軍医さんの戦記に書かれてた。検索すると、表紙の絵がリアルなタッチで出てくる。中はなかったが、どこかに残っているのかなあ。
ところで、最近、図書館で、零戦燃ゆという本を読んでいます。すごいおもしろい~。取材をメインにしたノンフィクションで、昭和50年ごろから書かれたらしい。当時はまだゼロ戦パイロットなど生きてる人もいた。20代で乗ってたら、60歳ぐらいだしね。
今、2冊目(文庫で6冊ある)。ガ島にたどり着いたところ。ガ島の人ではなく、ガ島を奪還すべく飛んできたラバウルの航空隊の話が多い。ゼロ戦作ってた堀越氏の苦労とか、アメリカでの取材とか、盛りだくさん。このブログでどこまで書けるか、お楽しみに。