ソルボンヌK子のブログ

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大東亜戦争19:ガ島6(ガ島終わり)

 まだ若い中尉がガ島へ行った。10月9日の夜、着いた。浜辺で、原住民だか、枯れ木のように痩せた男がヤシを拾っている。男は、中尉たちに気が付くと、喜んだ。彼は、ガ島に一番最初に来た兵隊だった。司令部まで4里あるという。(えーと、一里って4キロだっけ。ひえー)


 中尉君は、独身で、やる気まんまんだった。しかし、4里歩いてへばる。司令部は密林の中だ。14日に船の応援が来て、取られた空港を取り戻す戦いがある。(8月からずっとその戦いをしては負けてるんですけど)


 14日、駆逐艦だかが砲撃で大分活躍してくれたらしいが、取り戻せない。下痢が始まった。食事はいつもの半分だ。輸送事情が悪いと言われる。


 この中尉君の日記に、食べ物のことが書いてある。そこを紹介します。


10月19日 久々にゴハンをたくさん食った。加給品で金平糖一袋わたる。とてもとてもうれしいものだ。よくかみながら味わう。
(ガ島到着後まだ10日です。すでに飢えと戦っている。甘いものの美味しさがすごく伝わってくる。)


10月24日 饅頭が食いたし。甘いあまい饅頭が食いたし。汁粉にても可。
(暑くて眠れない日々が続き、攻撃もしている。熱はまだ出ていないが下痢は治らない。とにかく気力があっても、疲れのほうが大きいのだ。)


10月31日 20日ぶりにてうまき、うまきみそ汁を飲む。つぎにのむのはいつの日なるか。
(敵の攻撃に押され、後退する。応援が来るのが10日も先だと聞く。弾も少なくなってきた。)


11月6日 ゴハンは腹一杯。これでぜいたくはいわぬもようかんにてもあればなど。
(まだご飯はあるらしい。長期戦だと言われる。)


11月12日 ひさしぶりに粉みそなれどみそ汁を食う。うましうまし。
(フリーズドライの味噌汁は不味かったのね。今も不味いよねえ。便利には叶わないだけで。)


11月16日 東北出身の初年兵の間にては、餅の話しきりなり。思わずよだれをたらさしむるにはあらざるか。
(輸送船12隻来て、7隻沈没させられる。)


 中尉君、句を作っている。いくつか紹介します。


此の島に揚がりしときに見し兵の姿今では我姿かな


羊かんを厚味に切りて緑茶もて食らひし味ぞ今は夢なる


食ひたきは汁粉羊かん萩の餅次いでかのこに桜餅なり


男子我飯の量をば気にかくる程にもなりおちぶれたるかな


 そして、12月が過ぎ、1月。退却することになり、エスペランス岬(ここに撤退の船が来る)へと出発する。


12月25日 あと二里。脚気の気味あり。


 日記はここで終わっている。そのあと、別の人が、書いている。


12月27日 鈴木中尉は、艦砲受け、戦死。


 あと2里だったのにねえ。この日記は、遺族の手に渡ったようです。ガ島は2月に全員撤退したけど、10月にはもう、撤退すべきだと誰もが気づいてたらしい。海軍は、陸軍に先に撤退しようと言わせようとし、陸軍はメンツで言えないという、バカななすりあいをしてた。と、言うのは簡単ですね。だからさー、学習してよね、世の中のいわゆる「上司」さんたち。


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